目次
概要
TD173D、TD002G。本記事では、この2機種を基準にTD156DBの立ち位置と選びどころを整理します。現場での使い勝手を左右するポイントは、取り回しやすさ、作業面の視認性、打撃制御の素直さ、ヘッド長と重量バランス、モード切替の直感性、連続作業中の疲労感の積み上がり方など、多岐にわたります。TD173Dは操作性と扱いやすさを柱にした完成度が魅力、TD002Gは余裕のあるパワー感と拡張性が光るという印象を持たれがちです。では、TD156DBは何をもたらすのか。まず重要なのは、日常的なネジ締めや内装・金物取り付けのような“頻度が高く、時間も長くなりやすい作業”において、過不足のないトルク感と、手元の制御に従順なレスポンスを両立させる点です。極端な高出力や特化機能を追うのではなく、持ち替えのストレスを減らす総合的な扱いやすさに寄せた設計だと見ると、選択の軸がクリアになります。照明は手元の影を減らすレイアウトか、少なくとも締め始めの視認性に配慮が感じられる構成で、狭所でのビット当てに安定感を与えます。モード切替は、よく使うレンジに素早くアクセスできることが肝で、作業フローに割り込まないスピード感があるかを重視します。ヘッド長は狭所対応に直結し、重量バランスは先端のブレを抑えてビスの頭を逃さない一体感を作ります。こうした“作業の質”に直結する要素で見ていくと、TD156DBは過度な主張をせず、手元の意図に寄り添うまとまりが魅力。強い一撃よりも、ねじ込みの始まりから終わりまでの安定感を選びたい人にとって、TD173DとTD002Gの間でちょうど良い選択肢になり得ます。続きでは、代表的な作業シーン別に違いを分解し、道具の持ち替え回数や作業テンポへの影響まで踏み込んで比較していきます。
比較表
| 機種名(固定文言) | TD156DB | TD173D | TD002G |
|---|---|---|---|
| 画像 | |||
| 電源 | 18V リチウムイオン | 18V リチウムイオン | 40Vmax リチウムイオン |
| 最大締付トルク | 155N・m | 180N・m | 220N・m |
| 回転数(最大) | 0~2,300min⁻¹ | 0~3,600min⁻¹ | 0~3,700min⁻¹ |
| 打撃数(最大) | 0~3,000ipm | 0~3,800ipm | 0~4,600ipm |
| モード切替 | 3段階 | 4段階+アシスト | 4段階+アシスト |
| 本体質量(バッテリ除く) | 約1.2kg | 約1.2kg | 約1.5kg |
| 全長 | 135mm | 111mm | 120mm |
| LEDライト | 有 | 有 | 有 |
| ブラシレスモーター | 無 | 有 | 有 |
| バッテリシリーズ | LXT 18V | LXT 18V | XGT 40Vmax |
| 対応バッテリ容量 | 1.5Ah~6.0Ah | 1.5Ah~6.0Ah | 2.5Ah~5.0Ah |
| チャックサイズ | 6.35mm 六角 | 6.35mm 六角 | 6.35mm 六角 |
| 打撃モード | 強/中/弱 | 強/中/弱/テクス用 | 強/中/弱/テクス用 |
| ソフトスタート | 無 | 有 | 有 |
| ワンタッチビット装着 | 有 | 有 | 有 |
| 防滴・防じん性能 | 有 | 有 | 有 |
| 打撃制御機能 | 無 | 有 | 有 |
| バッテリ残量表示 | 無 | 有 | 有 |
| 適用ねじサイズ(小ねじ) | M4~M8 | M4~M8 | M4~M8 |
| 適用ねじサイズ(普通ボルト) | M5~M14 | M5~M14 | M5~M16 |
| 適用ねじサイズ(高力ボルト) | M5~M12 | M5~M12 | M5~M14 |
| 適用ねじサイズ(コーススレッド) | 22~125mm | 22~125mm | 22~125mm |
| 打撃音低減機能 | 無 | 有 | 有 |
| スイッチタイプ | トリガー式 | トリガー式 | トリガー式 |
| 最大電流 | 約20A | 約25A | 約30A |
| 冷却ファン | 無 | 有 | 有 |
| 適用用途 | 一般作業 | プロ用途 | 重負荷用途 |
比較詳細
マキタのインパクトドライバー・レンチTD156DBを手に取ったとき、まず感じるのは扱いやすさとバランスの良さです。手に収まる感覚が自然で、長時間の作業でも疲労が少なく、軽快に使える印象があります。これをTD173Dと比べると、トルクの立ち上がりがより鋭く、瞬間的な締め付け力に違いを感じます。TD156DBは必要十分なパワーを備えつつも、過剰に強すぎないため、木材や一般的なボルト作業で扱いやすい安心感があります。一方でTD173Dはレスポンスが俊敏で、スイッチを入れた瞬間から力強さが伝わり、スピード感を求める場面では頼もしさを感じます。
さらにTD002Gと比較すると、こちらは40Vmaxシリーズならではの圧倒的な出力があり、重作業や太径ボルトの締め付けでは別次元の余裕を感じます。ただしその分、重量感や取り回しの負担も増すため、日常的なDIYや軽作業ではオーバースペックに感じることもあります。TD156DBはその中間に位置し、家庭からプロの現場まで幅広く対応できる万能さが魅力です。実際に使ってみると、TD002Gの力強さに比べて穏やかでコントロールしやすく、狭い場所や繊細な作業ではTD156DBの方が安心して使えました。
音の質感にも違いがあり、TD156DBは比較的落ち着いた駆動音で耳障りが少なく、長時間の使用でもストレスが少ないと感じました。TD173Dは高回転域で甲高い音が響き、スピード感と相まって作業効率を高める印象ですが、静粛性を重視する場面ではやや気になることもあります。TD002Gはパワーに比例して音も大きく、迫力ある動作音が作業現場の雰囲気を引き締める反面、室内作業では扱いにくさを覚えることもありました。
グリップの握り心地も比較すると面白く、TD156DBは手のひらに自然にフィットし、滑りにくいラバーが安心感を与えます。TD173Dは細身でシャープな形状が特徴で、指先の操作性が高く、細かいトリガーコントロールがしやすいと感じました。TD002Gはやや太めでしっかりした握り心地があり、力強い作業に向いているものの、長時間持ち続けると重さと相まって疲労が蓄積しやすい印象です。こうした握り心地の違いは、実際に作業を続けると体感として大きな差となって現れます。
作業効率の観点では、TD156DBはスピードと安定性のバランスが取れており、日常的な使用において「ちょうどいい」と感じる場面が多いです。TD173Dは速さを重視するユーザーに向いていて、連続作業でテンポよく進めたいときに頼りになります。TD002Gは重負荷作業で真価を発揮し、鉄骨や大型建材を扱う際には圧倒的な力で作業を短縮できますが、軽作業では持て余すこともありました。こうした違いを体感すると、用途に応じて選び分けることの重要性を改めて感じます。
バッテリーの持ちについても触れると、TD156DBは18Vシリーズらしい安定した稼働時間で、一般的な作業では十分に持ちます。TD173Dも同じ18Vながら効率的な制御があり、消費電力の最適化を感じる場面がありました。TD002Gは40Vmaxの大容量バッテリーを搭載できるため、長時間の重作業でも安心ですが、その分バッテリー自体の重量が増し、取り回しに影響することもあります。実際に使い比べると、TD156DBは軽快さと持続力のバランスが良く、日常的な使用では最も快適に感じました。
総合的に見て、TD156DBは「万能型」という言葉がぴったりで、過不足のない性能と扱いやすさが魅力です。TD173Dはスピードとレスポンスを求めるユーザーに向いており、効率重視の現場で活躍します。TD002Gは圧倒的なパワーを必要とする場面で頼りになる存在ですが、常用するにはやや重さがネックになることもあります。実際に使ってみると、TD156DBは日常的な作業で最も自然に手に馴染み、安心して使える印象が強く、買って後悔しない選択肢だと感じました。用途に応じて選び分ける楽しさはありますが、バランスの良さを求めるならTD156DBが最も満足度の高いモデルだと実感しています。
まとめ
総合的に最も気に入ったのはTD173D。取り回しの良さと作業面の見通しの良さが頭ひとつ抜けている。全周リングLEDでビット先が常に均一に見え、石膏ボードの下地探しや造作の仮止めでミスが減った。トリガーの追従も素直で、微妙な締め始めのコントロールが効く。短いヘッドと重心バランスが効いて腕の負担が軽く、連続作業でも集中が途切れない。次点はTD002G。圧倒的な余力があり、太めのコーススレッドや屋外での長尺材でも「止まる不安」を感じない。ただ、バッテリー込みの重量とボディの存在感は確かで、狭所や片手保持では疲労が蓄積しやすい。速度の立ち上がりも俊敏で、慣れるまでは過締めを招きやすい場面があった。三番手はTD156DB。初期トルクの立ち上がりが穏やかで扱いやすく、DIYの家具組みや内装の軽作業で「ちょうどいい」。ヘッドは十分にコンパクトで、脚立上や棚内でもストレスが少ない。反面、硬い材や長めのビスでは粘りが一歩及ばず、余力が欲しい場面で休ませることがあった。総評として、日常の現場や室内作業が中心ならTD173Dがベストチョイス。屋外施工や太材中心で「とにかく余力」を重視するならTD002Gが頼れる選択。DIYと軽作業に軸足があり、扱いやすさと気軽さを優先するならTD156DBがおすすめだ。
引用
https://www.makita.co.jp/product/cordless/td173d.html
https://www.makita.co.jp/product/cordless/td002g.html
https://www.makita.co.jp/product/cordless/td156d.html
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