JRS20TCレシプロソーの実力:使いやすさと性能


目次

概要

マキタ JR189DZ、マキタ JR184DZと並べて、アイリスオーヤマ JRS20TCの“いま”の使い勝手を見極めます。JRS20TCは18Vの充電式レシプロソーとして、庭木の枝払いから粗大ごみの解体、屋内の軽解体まで、日常の「切る」を軽やかにこなす設計が特徴です。ブレードの着脱が工具不要で素早く、ガイドプレートの位置調整もしやすく、作業の開始から片付けまでのテンポが途切れません。安全面ではダブルロック仕様が利き、誤作動を防ぎながら、必要な瞬間に確実に起動できるバランスを備えています。

加えて、同社18Vシリーズで共有できるバッテリーを使い回せる運用性があり、日頃から同シリーズの電動工具を併用している人ほどメリットを実感しやすいでしょう。USB Type-Cでバッテリーを直接充電できる利便性も日常使いに響きます。専用充電器を探す手間なく、既存のケーブルで済む状況が増え、準備の煩わしさが小さくなるのは、DIYでも業務でも確かなアドバンテージです。

一方で、マキタの同クラス機はストローク数や切断能力の余裕が大きく、JR189DZは木材255mm・パイプ130mmまで対応するパワーと低振動設計が評価されています。JR184DZは木材50mm・パイプ50mmクラスながら、軽量コンパクトさと取り回しの良さで支持されるモデルです。作業環境や対象材、求める切断スピードの感触によって好みが分かれます。

この記事では、JRS20TCの軽快さと操作性を軸に、ブレード交換のテンポ、安全設計、シリーズ互換の運用性を「使ったときの手応え」で捉え直し、どのシーンで最もフィットするかを具体的に探ります。実際に庭木55mmクラスの枝や、Φ32mm程度の軟鉄パイプまで切った感触も踏まえて、スペック表だけでは見えない「現場でのラクさ」を整理しました。続きを読めば、自分の作業スタイルに合う一本が、かなりはっきり見えてきます。

比較表

機種名 アイリスオーヤマ JRS20TC マキタ JR189DZ マキタ JR184DZ
画像
電源方式 18V充電式(コードレス) 18V充電式 18V充電式
電圧 18V 18V 18V
ストローク長 20mm 22mm 13mm
ストローク数 0~2500min⁻¹ 0~3100min⁻¹ 0~3000min⁻¹
切断能力(木材) 約55mm 約255mm 約50mm
切断能力(パイプ) 約Φ32mm 約Φ130mm 約Φ50mm
本体寸法(長さ×幅×高さ) 約400×80×175mm 410×81×182mm 316×81×220mm
質量 約2.0kg(バッテリー含む) 約2.5kg(バッテリー含む) 約1.7kg(バッテリー含む)
変速機能 有(無段変速トリガー)
無段変速
ブレーキ
LEDライト
ワンタッチツールレスブレード交換
対応ブレード レシプロソーブレード レシプロソーブレード レシプロソー刃・ジグソー刃(Bタイプ)
グリップ形状 ソフトグリップ(ワンハンドグリップ) ソフトグリップ ソフトグリップ
付属品 18Vバッテリー(DBL1820C)、USB Type-Cケーブル、木工用ブレード、鉄鋼用ブレード 本体のみ(バッテリー・充電器・刃別売) レシプロソーブレード(木材・プラスチック用)、六角棒レンチ
使用環境 屋外・屋内 屋外・屋内 屋外・屋内
バッテリー互換性 アイリスオーヤマ18Vシリーズ マキタ18Vシリーズ マキタ18Vシリーズ
充電器互換性 USB Type-C対応充電器(20W以上・PSE適合品) マキタ18V充電器 マキタ18V充電器
用途 木材・軟鉄パイプ・薄板金属の切断 木材・厚物パイプ・金属切断 木材・パイプ・軽作業切断

比較詳細

取り回しとバランスの違い

アイリスオーヤマのJRS20TCを手に取ったとき、まず感じるのは全体のバランスの良さです。重量は約2kgで、数字だけ見ると特別軽いわけではありませんが、実際に握ると「前後のバランス」が良く、長時間の作業でも腕に過度な負担がかかりにくい印象でした。庭木の枝を何本も続けて切ったときでも、「あ、そろそろ休もうかな」と思うタイミングがマイルドで、ちょっと一息つきながらなら半日くらいは付き合ってくれる感覚です。

マキタJR189DZはパワーに余裕があり、厚めの木材や太い金属パイプを切断するときに頼もしさを感じます。その代わりボディは大きめで、ストロークも22mm・ストローク数0~3100min⁻¹と本格仕様。低振動設計ではあるものの、パワーをしっかり引き出していくと、それなりに腕や肩への負荷は出てきます。「今日はガッツリ解体作業だ」という日に選ぶ一本、というポジションです。

JR184DZはスペック上の切断能力こそ控えめですが、コンパクトさが際立ち、狭い場所や頭上での取り回しが非常に楽です。バッテリー込みで約1.7kg程度に収まるので、脚立の上で上向き作業をしていても「もう片手がプルプルしてきた…」という場面が少なく感じました。その分、切断スピードは状況によって物足りなく感じることもあり、厚物をひたすら切る用途にはあまり向きません。

切断スピードと扱いやすさ

切断スピードの感触を比べると、JR189DZはやはり別格です。木材255mmクラスまで対応するだけあって、2×4材や角材を切るときの「グイグイ進む感」が強く、押し当て方さえ慣れてしまえば非常にテンポ良く作業が進みます。一方で、そのパワーをしっかり受け止める必要があり、工具の扱いに慣れていない人だと、最初は怖さを感じるかもしれません。

JR184DZはストローク長13mm・ストローク数0~3000min⁻¹というバランス型で、薄板や50mmクラスの木材をコツコツ切っていくスタイルに向いています。「サクサク速い」というより「ミスなく丁寧に進めやすい」タイプで、DIY寄りの感覚に近いです。

JRS20TCはその中間に位置するような存在で、ストローク長20mm・ストローク数0~2500min⁻¹という設定です。スペック上はJR189DZほどの速さはありませんが、庭木の枝(直径50mm前後)やΦ32mm程度の軟鉄パイプを切る分には、むしろちょうど良いスピード感で、特に初めてレシプロソーを使う場合に「怖くない速さ」に収まっています。体感としては「急がず、でもダラダラもしない中庸のテンポ」で、作業全体のリズムが乱れません。

振動・安定感と切断ラインの追いやすさ

切断時の安定感も比較するとキャラクターがはっきりしています。JR189DZは高出力ゆえに切断スピードが速く、力強く押し込むような感覚で作業が進みます。ただその分、しっかりと本体を保持しないとブレやすく、特に慣れていないうちは切断ラインがフラフラしやすい印象です。慣れてしまえば「パワーを乗せて一気に切る」スタイルで非常に爽快ですが、初心者向きとは言い難いところもあります。

JR184DZは軽量で取り回しが良いため、片手でも扱える場面が多く、細かい曲線切りや配管周りの切断など、狭い場所での自由度が高いです。ただし厚い素材では時間がかかる分、振動を受ける時間も長くなり、手のひらにジンジンとした疲労が残りやすい場面もありました。

JRS20TCは、振動の抑え込みが上手く、切断ラインを狙いやすいのが好印象でした。木材を切るときの感覚は滑らかで、ガイドプレートをしっかり当てれば、真っすぐ切り進めるのが難しくありません。金属パイプに挑戦した際も、いきなりガリッと噛んで跳ねるような挙動は少なく、「少しずつ刃を入れていける」安心感があります。初めてのレシプロソーとして、怖さを感じにくいのはこの挙動のおかげだと感じました。

グリップとスイッチの感触

グリップの握り心地も重要なポイントです。JR189DZはラバーが厚めでしっかりとしたホールド感があり、力強く押し込む作業に向いています。JR184DZは細身で軽快に扱える一方、長時間握っていると人によっては少し疲れを感じる場面もありました。スイッチ配置はマルチポジションで便利ですが、慣れるまではどのスイッチをどう握るか一瞬考えることがあります。

JRS20TCはワンハンドグリップ前提のデザインで、手のひらに自然に馴染む形状です。トリガーの立ち上がりが穏やかで、「カチッと引いた瞬間いきなり全開」という感じではなく、じわっと回転が上がるので、素材に当てる瞬間の怖さが抑えられます。DIYで連続して木材を切り出す場面では、この「怖くない初動」が精神的な疲労をかなり減らしてくれる印象でした。

バッテリーと充電まわりの使い勝手

バッテリーまわりは、それぞれ思想が違います。JR189DZとJR184DZはマキタ18Vシリーズ共通バッテリーを使うため、既にマキタ製品を揃えている人にとっては「資産をそのまま活かせる」代わりに、専用充電器とバッテリーを用意する初期コストが掛かります。現場でガンガン使うなら、替えバッテリーを何本も持って回すスタイルが定番です。

JRS20TCは、18VバッテリーにUSB Type-Cで直接充電するタイプ。専用充電器が不要で、手持ちのUSB急速充電器(20W以上)の環境にそのまま乗せられるのが大きなメリットです。私の場合、スマホやタブレット用に用意していたUSB-C充電器にそのまま繋げたので、「レシプロソーのためだけの充電器を置くスペース」が増えず、工具棚まわりがスッキリしたのが地味に嬉しいポイントでした。

バッテリーの持ちに関しては、JR189DZはパワーが大きい分だけ消費も早いですが、その分作業スピードが速く、トータルの時間で見ると「短期集中型」。JR184DZは消費が比較的穏やかで、軽作業を細かく繰り返すような用途に向いています。JRS20TCは無負荷連続運転時間の目安が約20分とされていますが、実際のDIY作業では「切っては位置決め、また切る」といったインターバルが入るので、庭木の剪定程度なら一日を通しても1~2回の充電で収まることが多い印象でした。

音・騒音レベルと使える時間帯

音の大きさも比較すると性格が分かれます。JR189DZはハイパワーなだけあって動作音も大きめで、屋外ならそこまで気になりませんが、住宅地の静かな夕方にフルパワーで長時間使うのは少し気を使います。JR184DZは比較的マイルドな音で、軽作業に向いた静かさという印象です。

JRS20TCはその中間で、「ちゃんと工具の音はするけれど、耳障りな高音が少ない」タイプでした。室内で木材を切断した際も、扉を閉めてしまえば家族と普通に会話できる程度には抑えられていて、周囲への心理的なプレッシャーが少ないのはありがたいところ。夜間ギリギリの時間帯に、どうしても1〜2カットだけ済ませたい、といったケースでも使いやすいバランスだと感じました。

まとめ

最も良かったのはマキタ JR189DZ(5点)。低振動設計とストローク22mm・0~3100min⁻¹のパワーを両立し、庭木の太い枝払いから塩ビ管、厚めの角材まで、迷いなくパワーを乗せていけます。握り替えの自由度が高く、足場が悪い場所でも狙いを外しにくい安心感がありました。静粛性もスペックの割に優秀で、夕方の短時間作業なら周囲を過度に気にせず進められる感覚です。プロ寄りの一本を求めるなら、第一候補として外しにくいモデルです。

次点はアイリスオーヤマ JRS20TC(4点)。切断能力は木材約55mm・軟鉄パイプ約Φ32mmと家庭向けの上限あたりですが、立ち上がりのトルクが穏やかで初動が怖くないため、初めてのレシプロソーにも馴染みやすい一本です。片手保持の安定度が高く、日常の庭木や塩ビ管、薄板金属の定番作業にちょうど良い素直さがあります。USB Type-Cでそのまま充電できるバッテリーのおかげで、「あれ、充電器どこだっけ?」と探し回るストレスが減ったのも実感したポイントでした。安全側に寄った挙動が使い心地を支えてくれて、家仕事の相棒として信頼できるモデルです。

三番手はマキタ JR184DZ(3点)。軽快でコンパクトな取り回しが魅力で、脚立作業や狭い場所での配管周りなど、「体勢が苦しい現場」で真価を発揮します。一方で、連続作業では手元の振動が手に集まりやすく、太めの材や長尺材では姿勢作りにコツが必要でした。短時間の軽作業向けとしては十分ですが、「1台で何でもこなしたい」という前提なら、JR189DZクラスの余力が心強く感じられます。

総合的なベストチョイスは「マキタ JR189DZ」。一台で迷いなく現場適応できる総合力があり、作業効率と仕上がりの安定を両立できました。初めてのレシプロソー、あるいはDIYを中心とした家庭用途であれば、「アイリスオーヤマ JRS20TC」を選ぶのも非常に現実的な選択肢です。怖さが少ない立ち上がりと扱いやすさ、USB Type-C充電の気軽さが、日々のメンテ作業や週末DIYを確実に前に進めてくれると感じました。「ゴリゴリのプロ機」か「扱いやすい万能機」か、自分の作業シーンに合わせて選べば、どちらも頼れるパートナーになってくれます。

引用

https://www.irisohyama.co.jp/diy/item/jrs20tc/

https://www.makita.co.jp/product/li_ion/jr189dz/jr189dz.html

https://www.makita.co.jp/product/li_ion/jr184d/jr184d.html

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