目次
比較概要
MAXのスーパーエア・コンプレッサーから、「AK-HL1310E」「AK-HL1270E3」「AK-HH1301E(8L)」の3機種を比較します。AK-HL1310Eは高圧・常圧兼用の新世代モデルで、静音モード55dB、AIモードでも約62dBに抑えた静音性と、FAD97L/minクラスの余裕ある吐出量が特徴です。従来機のAK-HL1270E3も同じく高圧・常圧兼用で、クセの少ない素直な挙動とスマホ連携などの機能を備えた定番機。AK-HH1301Eはタンク8Lの高圧専用モデルで、軽さと可搬性を重視した「持って歩ける高圧コンプ」という立ち位置です。
現場での使い勝手を一言でまとめると、AK-HL1310Eは「余裕と静けさ」、AK-HL1270E3は「安心できる定番」、AK-HH1301Eは「軽快な機動力」というキャラクターになります。高圧・常圧をまたぐ造作・仕上げまで一台で回したいなら1310E、静音重視かつ予算を抑えたいなら1270E3、持ち運びの多い高圧主体の現場が多いならHH1301Eという分け方がしやすいです。
横向きレイアウトや空気取出口の配置は新世代の1310E/1301Eシリーズで大きく見直されており、車から降ろしてそのまま壁際に寄せて設置しやすい構造になっています。特に1310Eは高圧2口+常圧2口というバランスの良い構成で、屋外の構造材と屋内の仕上げをまたぐ一日の段取りに対応しやすく、運転モードも静音・AI・ハイパワーの3モードを現場の騒音環境に合わせて切り替えられます。
一方、AK-HL1270E3は発売から年数が経っているとはいえ、静音モード55dB、タンク容量11L、高圧2口・常圧2口・45気圧対応という基本性能は今でも現役クラス。AIモード付きで運転制御の考え方も1310Eに通じるものがあり、「最新機種ほどの吐出量や操作パネルはいらないけれど、実績のある高圧・常圧兼用機が欲しい」というニーズにはよくフィットします。
AK-HH1301Eはタンク8L・質量14kgと、同シリーズの中でもかなり軽量な部類です。高圧4口のみという割り切った仕様なので、常圧工具を全く使わない躯体工事や屋根、外壁周りの高圧釘打ちが中心の現場に向きます。静音モード55dB・ハイパワーモード62dBと、静音性自体は1310E/1270E3と同等クラスに抑えられているため、住宅密集地での早朝・夕方作業でも扱いやすいレベルです。
ここからは、主要なスペックを一覧で押さえつつ、連続作業・仕上げ・移動設置という3つの観点から、それぞれの機種が現場でどう効いてくるのかを詳しく見ていきます。
比較表
| 機種名 | MAX AK-HL1310E | MAX AK-HL1270E3 | MAX AK-HH1301E(8L) |
|---|---|---|---|
| 画像 | |||
| タイプ | 高圧・常圧兼用 | 高圧・常圧兼用 | 高圧専用 |
| 電源 | 単相100V(50/60Hz共用) | 単相100V(50/60Hz共用) | 単相100V(50/60Hz共用) |
| モータ出力 | 1.3kW(DCブラシレス) | 1.2kW(DCブラシレス) | 1.3kW(DCブラシレス) |
| タンク容量 | 11L | 11L | 8L |
| 最高吐出圧力 | 4.4MPa(45気圧) | 4.4MPa(45気圧) | 4.4MPa(45気圧) |
| 高圧取出口数 | 2口 | 2口 | 4口 |
| 常圧取出口数 | 2口 | 2口 | 0口 |
| 運転モード数 | 3モード(静音/AI/ハイパワー) | 3モード(静音/AI/パワー) | 3モード(静音/AI/ハイパワー) |
| 騒音値(静音モード) | 約55dB | 約55dB | 約55dB |
| 質量 | 約16kg | 約16kg | 約14kg |
| 発売年月 | 2022年9月 | 2020年10月 | 2024年9月 |
比較詳細
MAXのエアーコンプレッサーAK-HL1310Eを実際に使ってみると、まず静音性の向上がはっきりと感じられます。静音モード時はカタログ値で約55dBクラスで、従来のAK-HL1270E3よりも耳障りな高音が抑えられた印象です。作業場全体に「ガーッ」と響く感じから、「低めのうなりが静かに続く」音質に変わり、長時間の使用でも疲れにくくなりました。周囲との会話も大きな声を張り上げる必要がなく、「あ、これならリフォーム現場でも気兼ねなく回せるな」と素直に感じました。
吐出量に関してもAK-HL1310Eは余裕があります。FADベースでも97L/minクラスの実吐出量があり、エア工具を複数同時に扱う場面でもストレスが少ないです。AK-HL1270E3では、高圧連続打ちの終盤で圧力の落ち込みを意識する瞬間がありましたが、1310Eでは圧の復帰が早く、供給が安定しているため、作業のリズムが途切れません。体感としては「コンプのことをあまり気にせずに、作業だけに集中できる」という安心感があり、結果として施工スピードも自然と上がります。
一方でAK-HH1301Eは軽量さを売りにしているだけあり、実際に持ち運ぶと取り回しの違いがはっきり出ます。タンク容量は8Lとコンパクトで、高圧4口を活かした釘打ち中心の現場では、階段や足場をまたいで移動しながらの運用がとても楽です。体感的には「一人でハシゴ上げ下ろししてもそこまでしんどくない」重量感で、肩掛けベルトを使うと両手が空くので、ホースや資材の持ち替えもスムーズになります。
ただし、圧力の立ち上がり速度や連続作業での安定感では、やはりタンク容量11LのAK-HL1310Eに軍配が上がります。HH1301Eもハイパワーモードでの立ち上がり自体はキビキビしているのですが、ロール釘を連続で打ち込んでいくような場面ではタンクの小ささゆえに、1310Eと比べると余裕の差が出ます。個人的な感覚としては「短距離走は得意だけど、マラソンになると1310Eのほうが楽」というイメージで、長時間の重負荷が続く現場では1310Eのほうが安心感があります。
AK-HL1270E3は、その中間的な立ち位置です。タンク11L・質量16kg・高圧2口+常圧2口という構成は1310Eと共通しており、性能面でも今なお十分実用的です。ただ、実際に使い比べると、静音性や吐出量、操作パネルの見やすさなど細部のブラッシュアップは1310Eのほうが進んでいます。1270E3は「クセがなくて安心して使えるが、一度1310Eに慣れると戻りにくい」という印象で、既に1270E3を持っていて買い替えを検討している人なら、1310Eへのステップアップは体感の差をすぐに感じられるはずです。
操作性についてもAK-HL1310Eは改良が目立ちます。デジタル表示を含む操作パネルの視認性が高く、圧力やモードの状態が一 glance で把握できます。AK-HL1270E3でも使い勝手は悪くないのですが、1310Eのほうが「どのモードで、今どのくらいの圧なのか」が直感的に分かりやすく、作業中の微調整がストレスなく行えます。実際、狭い屋内で脚立の上からチラッと確認するときでも、1310Eのほうが数字の読み取りに迷わないと感じました。
冷却性能と耐久性の面でも1310Eは優秀です。新開発モータと冷却ファン周りの見直しの効果か、長時間稼働させても本体の熱の持ち方がマイルドで、「触ると熱すぎて少し怖い」という状態になりにくいです。AK-HL1270E3も問題があるレベルではありませんが、真夏の屋外で長時間回し続けるような条件では、1310Eのほうが一段余裕がある印象でした。こうした差は、毎日酷使するプロユーザーほど体感しやすいポイントだと思います。
騒音についてもう少し踏み込むと、単純なdB値だけでなく「音質の違い」も見逃せません。1310Eは静音モード55dB・AIモード62dBというスペックですが、耳に残る高めのキンキンした成分が抑えられているため、数字以上に静かに感じる場面が多いです。1270E3も静音モード55dBですが、1310Eのほうが音が丸く、同じ音量でも心理的なストレスが少ないと感じました。HH1301Eも静音モード55dBで、近隣への配慮という意味では十分ですが、室内リフォームで長時間回しっぱなしにするなら、やはり1310Eの横置きレイアウトと静かな音質の組み合わせが一枚上手という印象です。
細部に目を向けると、1310Eは振動の少なさも印象的で、床に伝わる揺れが軽減されています。AK-HL1270E3でも低振動設計ですが、1310Eではモータ周りのマウントやタンクとの結合部がさらに洗練されていて、「床がビリビリする感じ」がかなり抑えられています。これはコンプレッサー本体だけでなく、周囲に置いた材料や工具への影響も少なくしてくれるので、狭い室内での作業ほどメリットを感じやすい部分です。
実際の現場で3機種を使い比べてみると、AK-HL1310Eは「余裕を持って作業できる」感覚が強く、AK-HL1270E3やAK-HH1301Eでは得られなかった安心感があります。特に、2人以上の職人で高圧釘打ちと常圧の仕上げ工具を同時に回すような状況で、1310Eの吐出量とタンク容量のバランスの良さが光ります。ホースの本数が増えても「コンプが追いついていない感じ」が出にくく、結果として作業者の負担だけでなく、段取り替えのミスや待ち時間も減らせます。
逆に、毎日違う現場を渡り歩き、荷物の積み下ろし回数が多い人にとっては、AK-HH1301Eの軽さとコンパクトさは大きな武器になります。正直、「今日は高圧の釘打ちしか使わないな」という日なら、8Lタンク+高圧4口のHH1301Eを肩に担いで移動したほうが圧倒的に楽です。筆者も一度、3階建ての現場で1310EとHH1301Eを持ち比べたことがありますが、階段の上り下りだけならHH1301Eのほうが圧倒的に気が軽く、「この軽さならもう一往復してもいいか」と思えるくらいでした。
総じてAK-HL1310Eは、単なるスペックアップではなく、「現場での体験」を一段階引き上げる存在です。AK-HL1270E3やAK-HH1301Eと比べて、数字以上に「使っていて楽になる」ことが実感でき、結果的に作業効率・集中力・精神的な余裕のすべてにプラスに働きます。特に、朝イチから夕方の仕上げまで一台でやり切りたい人にとっては、1310Eの余裕と静けさは一度慣れると戻れなくなるレベルだと感じました。
まとめ
今回の比較では、第一にAK-HL1310Eを推します。横向きレイアウトの取り回しや、デジタル表示の見やすさ、AIモードの切り替えによる運転制御が現場での体感効率に直結しました。外壁の連続作業と屋内の細かな打ち分けを跨ぐ日でも、圧の上げ下げの迷いが減り、音の質も耳障りな高域が抑えられて集中が途切れません。持ち上げる・寄せる・ホースを差す、という一連の動作が滑らかで、作業者の癖を許容してくれる余地が広い機種だと感じました。
次点はAK-HH1301E。高圧専用としての立ち上がりの鋭さと、容量を食う局面での踏ん張りが頼もしく、重負荷の釘打ちが続く現場ではテンポを崩さない強さがあります。ただし常圧系を併用する現場では切り替えの融通が利かず、機材構成によっては余白が狭く感じます。高圧オンリーの現場が多く、荷物の軽さを最優先したい人向けの一台です。
三番手はAK-HL1270E3。従来機らしい素直な挙動で扱いは簡単、静音モード55dBの穏やかな音も魅力ですが、複数人での高負荷連続や、圧レンジをまたぐ作業では余裕の差が出ました。実体験として、朝の立ち上げから午後の仕上げまで一台で回すならAK-HL1310Eが最もストレスが少なく、段取り替えのミスも減ります。既に1270E3を持っている人が買い増し・買い替えを考えるなら、「現場の主力コンプ」を1310Eに据え、1270E3やHH1301Eをサブに回す運用も現実的です。
ベストチョイスはAK-HL1310E。高圧/常圧の両立、扱いやすい操作系、音の質と吐出量のバランスが高次元でまとまり、現場の変化に強い万能機です。高圧の連続重作業が主ならAK-HH1301Eを、単独作業や静音重視の軽負荷ならAK-HL1270E3を選ぶと満足度が高いでしょう。最終的には、「どれだけ荷物を減らしたいか」「どれだけ一台でやり切りたいか」という自分のスタイルにあわせて、3機種の性格をうまく使い分けるのがポイントだと感じました。
引用
https://wis.max-ltd.co.jp/kikouhin/compressor/ak1310e/
https://www.max-ltd.co.jp/
https://www.max-ltd.co.jp/product/kikouhin/airtools/compressor/AK98450.html
https://www.max-ltd.co.jp/product/kikouhin/airtools/compressor/AK98509.html
※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます
